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音楽のカリキュラムの構造は、7つの要素から成る。すなわち、表現、旋律、リズム、ハーモニー、音色、基調、および形式である。
一般音楽は、自然環境および人工的な環境の両方を使って、一定の音楽教育の成果を目指すと同時に環境教育の目標の達成にも寄与する多くの機会を提供する。たとえば、鳥の鳴き声を使って幼稚園から2年生の子供達にいろいろなテンポ、強弱、音調(たとえば、速いか遅いか、やかましいかやさしいか、なめらかか急に変化するか)を聞き分けることを教えることができる。録音した鳴き声を使うこともできるが、自然環境の中で実際に聞いて録音するのは、生徒の学習を刺激し動機付ける優れた方法である。このような活動は、音楽教育の目標を達成するだけでなく、この場合は聞き取る技能の発達という点で、環境教育の目標をも達成するものである。
一般音楽のもう一つの例としては、5〜6年生向けに、フェルデ・グローフェの「グランドキャニオン組曲」の最終章のような音楽を使って音楽の諸要素が音楽の表現の質にどう効果を与えるかについて説明することもできる。生徒は、この音楽を聞きながら、雷鳴が轟く嵐のグランドキャニオンでの一匹の動物の体験を思い浮かべるよう指示される。子供達は、その中でグランドキャニオンのような自然のままの場所やそこに暮らす野生生物達のニーズについて積極的な態度や価値観を養う。
一般音楽の三番目の例は、音楽の諸要素の一つである音色である。幼稚園から2年生までの生徒達は、音色の違いを理解するために、楽器を作る中でさまざまな物をリサイクルして使うことができる。環境教育について言えば、この活動は物の再利用に関する姿勢と価値観を育てる積極的な環境的行動にもなる。
音楽の旋律、リズム、およびハーモニーの概念は、幼稚園から4年生までの一般音楽で、子供達に風に動く草や木、飛翔するタカやカモメ、その他の鳥の飛行パターン、あるいは流れに浮かぶ小枝や木の葉の動きを観察させ、これらの動きのさまざまな違いを紙に一本の線で表現させることによっても育成できる。彼らはその線から、早く、遅く、空中に舞い上がり・・・というふうにダンスを創作し、そこからそれらの動きを自分自身の曲に変えていくことができるかもしれない。こうした活動は、観察力と美的感受性を育成することによって知覚的認識のサブゴール、そして環境倫理のサブゴールの達成にも有効である。
音楽の表現的要素はすべての子供達が学習できる。フェルデ・グローフェの「グランドキャニオン組曲」の使用については先に述べたが、他にもフォーク、カントリー、ウエスタン、ロック、そしてクラシックなどあらゆるジャンルに、環境または環境問題の何らかの要素を表現した曲が多くある。シベリウスの「トゥオネラの白鳥」は、荘厳な白鳥が水の上をどのように滑るように進むかを音楽で表現している。ジョン・プラインの「パラダイス」は、ケンタッキー州の石炭の露天掘りへの懸念を表現している。ポール・ウインターの「コモングラウンド」や他のアルバムは、希少動物、危機に瀕した動物、地球自体などについて歌っている。「コモングラウンド」のうちの何曲かは、録音したワシ、オオカ

 

 

 

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